放射線科
【担当医師名】 | 【卒業年次】 | 【専門医・認定医等】 |
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高野 徹 | 平成7年 | 日本医学放射線学会 放射線診断専門医 日本インターベンショナルラジオロジー学会 IVR専門医 日本医学放射線学会研修指導者 マンモグラフィー読影認定医 臨床研修指導医 |
放射線科診療の紹介
□放射線技術科メニュー
当院放射線科は1名の常勤医師と12人の診療放射線技師で構成されています。さらに週1回大学から出張医師が派遣されています。放射線科の仕事というと、「癌の放射線治療」をイメージする方が多いかもしれませんが、かなり多岐にわたります。放射線科の業務は、おもに画像の撮影、画像診断、放射線治療、血管内治療があります。画像といってもいろんな撮影があり、骨や胸部のエックス線写真、乳腺撮影(マンモグラフィー)CT、MRI、核医学検査、血管撮影、骨密度検査がありすべて放射線科で撮影され、撮影は放射線技師が担当し、撮影された画像は放射線科読影専門医が主に読影しています。当院ではCT、MRIは24時間放射線技師が常駐し、いつでも撮影できます。予約外の撮影、また診療時間外での撮影もできます。放射線治療については、週2回大学から放射線治療専門医が派遣され、医師が作成した放射線治療計画に合致するように放射線技師が機器を操作して放射線を照射しています。当院は県央地区で唯一放射線治療が可能な施設です。また、放射線科読影専門医が常勤しているのも当院だけです。放射線科診療における主な画像検査、インターベンショナルラジオロジーについて紹介します。
CT
64列マルチディテクタCT装置
X線を当てて頭部や体の輪切りを撮影する検査です。レントゲン写真よりも詳しい情報がえられます。症状があったときの原因の精査、手術する前に他に病気がないかの精査、治療後の効果判定、手術前後の状態を見るなど、撮影する目的は多岐にわたります。今日の診療の画像検査の中心的な役割を果たしています。1回の撮影はだいたい10秒から20秒ほどで終わります。調べる部位や病気によって、造影剤という体の中がより詳細にみえる薬を注射して撮影します。造影剤を使用する場合、数回撮影を繰り返して行います。体の中を1mmから5mmの厚さで輪切りした画像がえられるので、数mmの病変の存在も把握することが可能です。得られた画像データを画像処理することで、縦切りにした画像を作ることもでき、血管だけの画像をみることもできます。
腹部断層像
腹部再構成像
頭部血管像
心臓血管像
MRI
1.5TMR装置
MRI(磁気共鳴画像)とは強い磁気と電波を体にあてて撮影する方法です。撮影するときには大きな筒のようなところに入っていただき、撮影中は工事現場のような大きな音がします。撮影時間は撮影部位により異なりますが、だいたい20分前後となります。CTと異なり被ばくがありません。検査部位によってはCTでは全く得られない情報が得られます。脳や脊椎、肩や膝関節、肝臓、胆のう、胆管の病気を調べるときに主に撮影されます。例えば、発症してまだ時間経過していない脳梗塞は、CTでは全くみえず、MRIしか見えない時期があります。通常脳梗塞が疑われた場合、MRIを撮影し、早期に診断し治療に役立てています。
肝臓のMR画像
肩のMR画像
脊椎画像(頸椎)
脳のMR画像
脳血管再構成画像
膝のMR画像
核医学検査
RI検査装置(シンチカメラ)
核医学とはごく微量の薬(RI ラジオアイソトープ)を投与し、体の中に入った薬からでる放射線で写真を撮ります。
他のCT、MRIなどと異なり、形態画像ではなく機能画像です。
主な検査としては下記のようなものがあります。これらのRI検査で得られた写真をシンチグラフィー(略して“シンチ”)と呼びます。
- ◎骨シンチグラフィー:骨の変化をみる検査法。レントゲン写真には写らない代謝、炎症変化を撮影します。全身の骨の検査が可能で、癌の骨転移や骨や関節の炎症などの検出に有用です。
- ◎心筋シンチグラフィー:心臓の筋肉の血流、収縮、代謝、炎症などの機能情報を撮影します、心筋梗塞や狭心症の診断に有用です。
- ◎脳血流シンチグラフィー:脳の血流をみる検査です。脳血管障害、認知症、てんかん、脳腫瘍などの診断に用いられます。
- ◎そのほか腫瘍、内分泌(甲状腺、副腎)、消化器、呼吸器などの検査もあります。
心筋シンチグラフィー
(カラー表示)
骨シンチグラフィー
(全身)
血管撮影、血管内治療
血管のなかにカテーテルという細い管をいれて血管を撮影する検査です。血管撮影の場合、血管を撮影する検査のみで終了する場合と、撮影後血管内治療を行う場合があります。令和1年にAIが搭載された血管撮影装置がはいり、画像の精度はあがり、被ばく量も少なくなり、より精度の高い血管内治療が可能となりました。血管内治療とは、多発外傷の患者様で出血している血管にカテーテルをいれて血管を塞栓したり、破裂した動脈瘤の出血をとめたり、破裂するリスクのある動脈瘤を破裂予防の目的で塞栓したりします。また、肝臓にできは腫瘍に対して腫瘍を栄養している血管に抗がん剤をいれたあとに血管をふさぐ治療も行われています。図に示してある画像では、腫瘍は青紫色で、腫瘍を栄養している動脈は緑の線で示されています。これは、AIが腫瘍を栄養している動脈を探して同定したものです。AIがみつけてくれた栄養動脈にカテーテルをいれて、そこから抗がん剤と塞栓物質をいれて治療します。当院放射線科が行っている血管内治療は、肝腫瘍がメインですが、ほかに腹部分枝動脈瘤、肺動静脈瘻、喀血の止血、肝損傷や肝腫瘍の出血の止血、小腸出血の止血等多岐にわたります。肝腫瘍の治療についてご紹介しますと、おもに手術不能な肝細胞癌の治療、全身化学療法で効果がない肝腫瘍を中心に行っています。とくに肝細胞癌の場合は、肝硬変に生じる場合がほとんどであり、肝機能がわるく手術できないことがしばしばあります。血管内治療は治療しても肝臓の負担は軽く、繰り返し治療が可能なので、良い適応となります。なお、放射線科が行っている血管内治療は頭部、頭頚部、心臓、大動脈以外の領域なら対応可能です。
頭腹部血管撮影装置
腹部血管撮影
腹部血管撮影
インターベンショナルラジオロジー(IVR)とは?
インターベンショナルラジオロジーってなかなか聞きなれない言葉ですが、日本語で言うと「画像下治療」です。画像をみながら、出血や癌、胆石の治療をしたり、狭い血管を広げたり、診断を確定するために組織を採取したりすることをいいます。当院でも放射線科、内科でさかんに行われています。画像をつかっておこなうので、必ず放射線科がかかわります。当院では前述した血管内治療、心臓カテーテル治療、胆管ステント留置、CTガイド下膿瘍ドレナージ、CTガイド下生検など、様々なIVRが行われています。
マンモグラフィー
近年、乳がんは増加傾向にあり、11人に1人乳がんになるといわれており、乳がんの早期発見に大きく寄与しているのがマンモグラフィーです。乳房を挟んでX線撮影する検査で、通常2方向撮影します。当院では、令和1年に新しいマンモグラフィー装置とマンモグラフィー読影用高精細モニターが導入されました。新しいマンモグラフィー装置がはいり、画像の精度があがり、さらにトモシンセシスという撮影方法ができるようになりました。従来のマンモグラフィーでは、病変と正常乳腺が重なって見えにくいことがありましたが、トモシンセシスとは乳房を薄くスライスした画像を作ることにより、重なりの少ない画像での評価ができます。これにより診断能力が格段にあがりました。
当院では、乳がんの診療に関しては診断、手術、化学療法、放射線療法と一貫して治療ができる施設ということもあり、放射線科としても力を入れています。乳がんの患者様も年々増え、乳がん診療におけるマンモグラフィーの件数も増えました。また、人間ドック、乳がん検診も積極的に受け入れています。なお、マンモグラフィーの撮影はすべて女性放射線技師が担当しており、検査が受けやすい環境も整っています。
マンモグラフィー装置
放射線治療
リニアック装置(放射線治療装置)
放射線治療とは、主に悪性腫瘍に対して放射線を当てる治療です。悪性腫瘍の治療には手術と化学療法がありますが、放射線治療は体の負担がかるく、副作用が軽い場合が多い治療です。放射線治療は悪性腫瘍の治療はもちろんですが、癌による疼痛を軽減する「緩和治療」の中心的役割を果たしています。薬剤で疼痛緩和が十分得られないときに放射線療法は選択され、とくに骨転移に対してはしばしば選択されます。当院は県央地区で唯一放射線治療ができる施設で、県央地区の病院から放射線治療の依頼を受け入れたり、また新潟市内の病院からも予約が混んでいて治療まで時間がかかる患者様も受け入れています。
大学より週1回派遣されている放射線治療専門医が担当しており、年間100件前後行っています。乳がんと骨転移の治療が多いですが、ほかに皮膚転移、脳転移、食道癌、前立腺癌、肺癌、リンパ節転移、膵癌、直腸癌など様々な部位に対して治療しています。入院もしくは外来での治療も可能ですが、外来の場合は5日連続して通院しなければいけません。遠方の施設で外来治療する場合通院は大変です。当院の放射線治療の機器は古いものではありますが、特殊な治療を除けば、一般的な放射線治療は他施設と同様の治療ができます。
心臓カテーテル検査
心カテ装置
(心臓カテーテル撮影装置)
心臓をかこむように走行する冠動脈という動脈があり、心臓を栄養しています。この動脈にカテーテルをいれて冠動脈が狭くなっていたり詰まっていたりしているかを調べる検査です。異常があった場合は検査でおわることはほとんどなく、そのまま治療を行います。治療は風船のついたカテーテルで血管を拡張したり、ステントという金属の網でできた筒状のものを血管内にいれて、血流を改善させます。治療は循環器内科医が担当しています。当院は時間外でも対応可能な体制をとっています。
冠動脈狭窄部位の造影
冠動脈狭窄治療後の造影
骨密度測定装置
骨密度測定装置
骨密度測定装置では、骨密度(骨の丈夫さ、硬さ)を知ることができます。測定時間は2分程度、椅子に腰掛けて、手首を装置に置いていただくだけで手軽に検査できます。痛みなどはありません。
測定は利腕とは反対の手首で行い、得られた測定値を性別・年齢の標準値と比較します。
測定ではX線を用いていますが、ごくわずかで、安心して検査を受けることができます。骨粗鬆症の早期発見、予防に効果的です。
骨密度を数値とグラフで表示
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨密度が低下し、骨の内部がスカスカになって、骨が弱くなってしまう病気です。
骨粗鬆症になると、骨が痛んだり、曲がったり、転んだだけで骨折してしまうこともあります。
骨粗鬆症の原因は、カルシウム不足や骨の新陳代謝が衰えることです。一般的に、高齢者、閉経後の女性、やせている人、運動不足の人、カルシウム不足の人に多いとされています。